「ココ・ファーム」洞爺湖サミットで供された栃木県のワイナリー
今回は、酒蔵見学に行った折、川中島幻舞杜氏の千野麻里子さんから某月某日に池袋東口にある反対の名前の某百貨店で酒蔵が集まる催事があり、そこに1日だけ行くと教えてもらったことから始まります。
当然のことながら、お礼を兼ねて当該日に某百貨店に行ったわけですが、そこには幻舞はもちろんのこと、七賢、栄光富士など名だたる蔵が集まっていました。しかし、そこは人気者の麻里子さんなので、人だかりができるほどの人気となっていました。そこで、催事場を回覧していると、ワインの蔵がひとつ目立っていました。それがご紹介するココ・ファームです。
ココ・ファームは、1950年代に栃木県足利市の特殊学級の中学生たちと担任の川田昇先生によって開墾されたぶどう畑を礎にしています。川田先生が購入できた土地はとても厳しい山の急斜面にありましたが、日当たりはよく、水はけもよいためぶどう作りに向いていました。また重機が入らないので、障がいを持つ子供たちの人力によって雑草の駆除などを含めた畑の手入れがなされるという効果もありました。
その後、1969年に指定障がい者支援施設こころみ学園がスタートし、ぶどうを育てていくなか、ワイン造りをはじめようと考え、さまざまな苦労ののち、1984年、知的障がいを持った人たちや、その父兄等を中心に、出来たぶどうからワインを作るという会社を設立しました。それが有限会社ココ・ファームです。
畑では、日本を代表するブドウのマスカット・ベーリーA、リースリング・リオン、小公子などの銘柄や、カベルネ・ソーヴィニョン、プティ・マンサン、ノートン、タナ、ヴィニョールなど、世界的な葡萄品種を栽培しています。
今回の催事では、いくつか試飲ができ、その中で私が選んだのは2014年「風のルージュ」。ツヴァイゲルトレーベ、メルロー。
聞きなれないブドウの名前ですが、1970年代にツヴァイゲルトレーベの苗がウイーン郊外の修道院から北海道にもたらされ、今では北海道を代表する銘柄となっています。
日本ワインらしくないボディのある味わいがいいですね。また「風のルージュ」という名前もロマンチックです。他にも「第一楽章」「陽はまた昇る」「農民ロッソ」、白は「風のエチュード」「山のシャルドネ」「農民ドライ」など、凝った名前がついたワインもあります。
ちなみにこのファームには年一回、はとバスで新酒を楽しめるツアーもありますよ。