「勝沼醸造」世界一の製造コストを自認する甲州ワイン蔵

今日はクリスマス・イブということで、ワインを取り上げてみました。

山梨県甲州市で1937(昭和12)年創業の勝沼醸造です。勝沼にはブドウを持った仏像がある大善寺があり、甲州ブドウ発祥の地とされています。そんな勝沼の地で醸されている、勝沼醸造の3代目社長である有賀雄二さんの名を冠したワイン「アルガブランカ」です。

政府の殖産興業政策のもと、勝沼町に日本で初めてワイン醸造の会社「大日本山梨葡萄酒会社」が設立されたのは1877(明治10)年のこと。設立の年に会社では、高野正誠、土屋助次郎の二人の青年を、ワインの本場フランス(トロワ市)に派遣し本格的なワイン造りを学ばせました。このあたりの地形を見ると丘だらけで平地がなく、水はけのいい土地ということで、米の栽培には向いていなかったのだと思います。

最新技術で世界一高い製造コスト

勝沼醸造では他社に先駆け、逆浸透膜濃縮装置、氷結濃縮法を採用し「世界一高いワイン製造コスト」を自認しています。

その品質は毎年国際コンクールで評価され、最新の「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)2018」では、「アルガブランカ イセハラ2016」「アルガブランカ ピッパ2015」「アルガブランカ クラレーザ2016」が 銀賞を受賞しています。

写真は「アルガブランカ・クラレーザ2013」です。「甲州」を使用してアルコール度数12.5%と低めの設定です。

クラレーザの特徴は、日本固有 のぶどう「甲州」を100%使用し、手間のかかるシュール・リー醸造法を用いて造られています。

シュール・リー醸造法は、ロワール河河口地域に古くから伝わる方法で、醸造中に溜まる澱を除去しないでワインとゆっくり接触させて香りや旨味を増す方法です。日本では、5ヶ月以上の接触を必要とし、6月30日までに瓶詰めされた物と規定されています。

裏ラベルにある生産本数80000本というと、けっこう多いのではないかと思われがちですが、あの高価で有名な「ロマネコンティ」の年間6000~7000本というのは別格の少なさで、コミック『神の雫』でも有名な「シャトー・ラフィット・ロートシルト」「シャトー・ラトゥール」「シャトー・マルゴー」といった1級銘柄でも年間15万本以上生産していますのでそんなに多くないですね。

ではさっそく味わってみます。

香りは欧米のものに比べ弱めで、これなら繊細な香りを楽しむ日本料理の邪魔をしませんね。12.5度と軽く、赤ワインでいうとライトボディな感じのスッキリ辛口です。

口に含むと酸を感じますが、甘ったるいところがないので、飲んでしまえば口のなかはサッパリとします。このあたりも脂の乗ったマグロなどを食べた後にピッタリではないでしょうか。

これまで、日本の白ワインはドイツ風(ドイツワインが悪いと言っているのではありません)の甘くてへんな風味のものが多く、私は敬遠気味でしたが、こういう“主張をせず”“和を貴び”、料理を引き立てながら、自分もさりげなくアピールできる「日本」を表すような味のワインが登場していたとは勉強不足でした。

実はこの勝沼醸造、ある人気の日本酒とも関わりがあります。いずれそこについて触れてみたいと思います。

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