豪雨の涸沢からの焼岳のち「アルプス正宗」

(承前)

奥穂高岳に登れなかったことをくよくよしながら豪雨の涸沢小屋から下山していましたが、雨が止み気味になってきたのは2時間ほど下山してから再び本谷橋まで戻ってきたときでした。さらに行くと増量した水がゴーゴーと流れています。

そこからさらに1時間を要して横尾まで来たときには青空も見え始め、ようやく気分もあがってきました。そこから1時間の徳沢園で昼食です。往路ではソフトクリームをいただきましたが、空腹のため、山小屋お決まりのカレーライスと缶ビールです。麓に下りてきた実感がMAXでしたね。

英気を養った後は一気に上高地バスターミナルまで行き、そこからちょっとズルをしてバスに乗って2駅目の大正池で下車し、ホテルにチェックインしました。その晩は長野県塩尻市にあるアルプスが醸す大正池ホテルオリジナルワイン、「MdV 松本平ブラッククイーン 2016」です。辛口の赤ワインで、軽い渋みがあって疲れた身にしみました。ちなみに「MdV」は「Musee du Vin」(ミュゼドゥヴァン)の頭文字で日本語だと「ワイン博物館」となります。アルプスワインのフラッグシップということで、長野県産ブドウを使って醸したシリーズを言います。

赤ワインと食事には満足しましたが、登山的には満足ができません。そこで、大正池が出来たおおもとの山「焼岳」を登ろうと思ったわけです。「アルプス正宗」はまだ出てきません。

百名山の焼岳へ

天気予報を見ると晴れではないものの雨の予報はありません。ということで翌朝、朝食を摂った後、焼岳に向かいました。「焼岳」は現在も火山活動を行っている百名山の一つです。1915年の噴火で上高地を流れる梓川をせき止めて大正池ができました。穂高山系の人気が高いのでそんなに登っている人はいないだろうと思ったら、意外とそんなことはなく、比較的老人が多い穂高に比べて若い人が多く登っていました。

有名な上高地帝国ホテルの脇を通り過ぎ、10分ほど歩くと登山口に到着。そのまま整備された道を登っていきます。途中までは非常に登りやすくいい感じでしたが、途中からハシゴが増えてきました。

最後のハシゴを上ってまもなくすると焼岳小屋に到着。水分補給の後、頂上にアタックです。途中からはエメラルドグリーンの大正池が望めます。森林限界を迎え、岩場となった登山道にはところどころ硫黄の黄色に染まった岩があり、煙が出ています。さすが活火山です。

小屋から1時間ほどで頂上に到着しましたが、ガスっていて周囲がまったく見えません。しかしながら、前日の豪雨をかわいそうと思ってくれたのか、一瞬だけ山頂の池「正賀池」を見せてくれました。

その後はまた見えなくなってしまったので下山し、ホテルの売店で「アルプス正宗」とご対面と相成りました。

奥穂高岳には登れませんでしたが、百名山のひとつ「焼岳」に登頂できたので、6割満足の旅でした。


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